身近な銘柄は?と聞かれたら 季節で動く株を知っておく意味、サマーストックから始めるテーマ投資入門
2025/06/24
こんにちは。今年は猛暑の予想となっていますね。例えば、「夏になるとエアコンが売れる」「台風が来るとホームセンターの需要が増える」といった季節による需要変化は、実は株価にも大きな影響を与えています。
株式市場には1年を通じてさまざまな「季節要因」が存在します。気温、天候、イベント、さらには祝日や商戦など、特定の時期に業績が伸びやすい企業があるのです。季節イベントに基づく投資は、日常生活と結びついているのでイメージしやすいこと、テーマが終われば利益確定や撤退の目安が立てやすいことなどがメリットとして挙げられます。たとえば、クリスマス前に売れるおもちゃメーカー、花粉症シーズンに注目される製薬会社、年末の大掃除で売れる掃除用品の企業など、季節と連動した銘柄には毎年繰り返される旬のようなものがあります。

そして猛暑は「サマーストック」関連銘柄に恩恵があるのではと考えられ、物色されやすくなります。
今回は季節性のある投資について、サマーストックの注目企業をわかりやすくご紹介します。
サマーストックとは、夏場や猛暑の時期に需要が高まる商品やサービスを提供する企業の株式を指します。気象予報や季節イベントに合わせて動きやすいため、投資初心者の方でも株価変動の理由が理解しやすいのが特徴だと考えられます。
ここで2025年の夏に注目したい銘柄の例を挙げさせてください。(推奨ではございません。銘柄選びの参考にしていただければ幸いです。)
① 冷房・空調関連
ダイキン工業(6367)、富士通ゼネラル(6755)など
エアコンは夏の猛暑シーズンには欠かせない存在です。総合電機メーカーでもエアコンは作っていますがエアコンが主力の企業の方がより恩恵を受ける可能性があるでしょう。温暖化トレンドの長期テーマと、短期の猛暑テーマの両方で注目できると考えます。
② ビール関連
アサヒグループホールディングス(2502)、キリンホールディングス(2503)、サッポロホールディングス(2501)など
夏といえばビール。ビールの需要に関しては気温だけでなく湿度も含めた不快指数がビール指数とも言われるように、蒸し暑いとビールの消費が増えることに加えて、清涼飲料水も売上が伸びると考えられるため飲料メーカーはサマーストックとして定番だと言えます。
③夏の必需品や夏用衣料
ユニ・チャーム(8113)、コーセー(4922)、リベルタ(4935)、ワークマン(7564)など
汗対策、衛生対策、虫よけなど、夏の生活必需品を幅広く手がける日用品メーカーのユニチャームや日焼け止めのKOSE、機能衣料ブランド「FREEZE TECH(フリーズテック)」のリベルタ、夏用衣料需要増はワークマンも恩恵が考えられます。他にもドラッグストアなども関連銘柄です。
④夏休みの習い事やレジャー
セントラルスポーツ(4801)、バンダイナムコホールディングス(7832)、くら寿司(株)(2695)、サイエンスアーツ(4412)ラバブルマーケティンググループ(9254)など
スポーツクラブ運営企業であるセントラルスポーツは夏の水泳教室や体力づくりの需要増により業績が動きやすいです。また今年は夏休みに万博に行かれる方も多いのでは。大阪関西万博の中で注目されているガンダムパビリオンのバンダイナムコホールディングスや話題のくら寿司、万博でも使われるインカム・無線機をアプリにしたライブコミュニケーションプラットフォーム「Buddycom(バディコム)」の開発・販売を行うサイエンスアーツなど関連銘柄はたくさんあります。またテーマパークなども恩恵がありそうですが、出資先のABALのXR技術で製作した史上最恐お化け屋敷が『戦慄迷宮XR:迷(めい)』が東京タワーにて開催されるラバブルマーケティンググループも注目できそうです。
⑤氷菓、アイスクリーム
井村屋グループ(2209)、江崎グリコ(2206)、森永乳業(2264)、B-R サーティワン アイスクリーム(2268)、アイスコ(7698)など
暑い夏、やっぱり食べたい氷菓やアイスクリーム。猛暑は売上増が期待できます。あずきバーの製造元として知られる井村屋グループは夏の風物詩のような存在。アイスクリームの製造や販売で有名な企業のほかに、アイスクリームと冷凍食品の卸売販売のアイスコも関連銘柄です。
ほかにも猛暑関連銘柄はまだまだあります。冷房需要増で使用量増加が見込まれる電力会社、夏祭りやイベント関連など、暑かったらどこに需要が生まれそうか連想ゲームのように考えていただくことが銘柄選びのヒントとなるでしょう。証券会社にもよりますが最近は1株単位で購入できるサービスも増えており、資金が少ない初心者でも複数のサマーストック銘柄に分散投資しやすくなっています。分散投資によってリスクを抑えつつ、季節のトレンドに乗ることができます。
季節要因や一時テーマに注目する投資には面白さがある一方で、すでにメディアで話題になった時点で、すでに株価に織り込まれていることもあります。「夏が来る前に仕込む」「気温予報やイベントの先読みをする」など先取り意識が大切です。また猛暑というテーマが終わると売りが出る長期保有には不向きな銘柄もあったり、梅雨が長引くと夏の商戦が崩れるなど、天候次第で業績に影響が出やすいテーマ株もありますのでご注意ください。
投資の第一歩は、「知っている企業に興味を持つこと」からですので、気になった方はサマーストック銘柄を調べてみてください。
アドバイザー/三井 智映子
金融アナリスト、株式会社オフィスはる代表、日本PCサービス株式会社 社外取締役、株式会社イベントス取締役COO、「投資WEB」プロデューサー
【出演・掲載実績】
NHK・フジテレビ・テレビ東京・日本テレビ・BSフジ・テレビ大阪・ラジオNIKKEI・ダイヤモンドZAI・マイナビ・週刊フジ・日経マネー・女性セブン・SPA!・FX攻略.com・ワッグル・CLASSY・SPA!など
【著書】
『最強アナリスト軍団に学ぶ ゼロからはじめる株式投資入門 』(講談社)
『はじめての株価チャート1年生 上がる・下がるが面白いほどわかる本』 (アスカビジネス)